X線自由電子レーザー(XFEL)Sub-10nm集光の実現と,それに伴う超高密度光子場を利用した新たな学問分野の開拓が望まれている.しかしながら,10nmレベルの集光XFELの直接計測は,光源の振動やアブレーション損傷の観点から難しく,XFELナノビーム評価法の確立が切迫した課題である.本研究ではこの問題に対して,X線の位相情報の取得に着目し,日本のXFEL施設であるSACLAにおいて高精度な波面計測手法の開発を行うものである.本年度はチェス盤状回折格子を用いた2次元波面計測法における系統誤差の低減に注力した.特に,計測に用いるX線-可視光変換型カメラにおける歪曲が,2次元的な系統誤差(カメラ座標によって計測結果が異なる)を生む点に着目し,低歪レンズを用いた波面計測に特化したX線画像検出器を開発した.結果として,カメラ座標に依存した計測誤差がλ/140~λ/160 rmsの,非常に高精度な波面計測システムを実現した.その他,回折光子由来の誤差成分,および光学素子の配置誤差の較正を実施し,最終的に計測の確からしさλ/72 rmsを達成した.また,この波面計測技術を用いてsub-10nm集光ミラーの形状修正を実施したところ,水平・鉛直の両方向ミラーにおいてλ/4 PV以下,2次元的にはλ/15 rms以下の波面精度を達成した.これはRayleigh則・Marechal基準を満たし,回折限界集光性能を示すものである.
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