大質量星の重力崩壊時に星の爆発とともに形成されると考えられている強磁場中性子星であるマグネターの形成条件は未解明である。また、通常より爆発エネルギーが10倍程大きい極超新星の爆発メカニズムには、大質量星の爆発メカニズムの主流になりつつあるニュートリノ加熱に加えて磁場が何らかの役割を果たすと期待されている。
本年度は、大質量星に磁場が存在する場合の重力崩壊現象をニュートリノ輻射輸送を考慮した二次元軸対称電磁流体シミュレーションを用いて調べた。15倍、18倍および28倍の太陽質量をもつ大質量星において重力崩壊前の磁場強度を変化させることで、爆発における磁場の影響の解明に挑んだ。その結果、大質量星の種類、磁場強度に寄らず、ニュートリノ加熱駆動による爆発現象が起きることがわかった。また、磁場強度が強いほど、スケールが小さい領域での乱流生成が抑えられ、ニュートリノ加熱による停滞衝撃波の復活がわずかに遅れることが判明した。本研究では、大質量星に回転が無い場合でも強磁場モデルの場合は重力崩壊にともなう磁束の保存により自然な形でプロトマグネターが形成された。一方で回転がある場合には、プロトマグネターが形成された場合は磁気流体ジェットが形成されたがプロトマグネターが形成されなかった弱磁場モデルにおいてはジェットも形成されなかった。大質量星に回転が無い場合の研究結果は、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society誌にて出版済み (Matsumoto et al. 2020) である。
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