本課題で調査した境界流同期現象は,偏西風ジェットの位置決定および猛暑や豪雨に重要な役割を果たすと考えられる。たとえば研究代表者の結果では,2018年7月の気温が境界流同期指標でよく説明された。また近年,西岸境界流は地球温暖化が速いことが指摘されているが,これを「偏西風ジェットの極側シフト」と関連づけることで,我が国の気象の支配要因を明らかにする一助となることが考えられる。 学術的には,「中緯度海洋は大気に受動的に応答する」という従来の見方か,あるいは近年の研究報告に基づき「中緯度の大気海洋結合系をなす」と解釈すべきかについて,理論構築やモデル実験等を通して物理的解釈を確立する一助となる。
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