• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

南米南部・南極半島上空における大気重力波の発生源の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K23465
研究機関国立極地研究所

研究代表者

木暮 優  国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (10846786)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワード大気重力波 / 2次波 / アンデス山脈 / 衛星観測
研究実績の概要

本年度は、南部アンデス山脈上空の山岳波が作り出す2次波について観測研究を進めてきた。近年、2次波は高分解能モデルを用いた研究が活発に行われており[Vadas et al., 2018; Vadas and Becker, 2019]、モデル研究とともに観測研究もここ数年で行われ始めている[Vargas et al., 2016; Liu et al., 2019]。研究代表者は、2つの衛星観測(AIRS/Aqua, VIIRS DNB/Suomi Npp)を解析し、アンデス山脈上空の重力波の波長・空間的広がりを調査した。AIRS/Aquaは成層圏(高度~20-50 km)の重力波を、VIIRS DNB/Suomi Nppは、中間圏(高度~87 km)の重力波を捉えることが可能である。2つの衛星がとらえた重力波の発生源を特定するために、再解析データ(MERRA-2)を用いた。
結果1 山岳波及び2次波と考えられる重力波が、ほぼ同時刻で観測されているイベントを2つ発見した。
結果2 上記のイベント期間前後では、地表付近の強い風がアンデス山脈にぶつかっていた。このため、AIRS/Aquaが捉えた成層圏重力波は、山岳波であると考えられる。また、これらの山岳波は上方伝播に伴い振幅が増大し、高度50-70 kmの間で飽和・砕波することがわかった。
結果3 VIIRS DNB/Suomi Nppが捉えた中間圏重力波は、リング状の波面を持ち風下方向に広がって分布していた。これらは、Vadas and Becker [2019]が数値モデルで再現した2次波と同様の特徴である。一方で観測された重力波は、Vadas and Becker [2019]が再現した波より波長が一桁程度短かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究計画は、南部アンデス山脈上空の山岳波とその山岳波が作り出す2次波を衛星観測(Aqua/AIRS、VIIRS/Suomi NPP)を用いて捉えることが主な目的であった。2019年度は、山岳波と2次波が観測されたイベントを発見し、それら2つの波の関係を再解析データ(MERRA-2)を用いて明らかにした。上記の結果をNASA/GSFCやNWRAの研究グループと議論を深め、学術論文としてまとめ、学術誌Geophysical Research Lettersに投稿し、査読を受けている段階である。
そのため、当初の目的の大部分は既に達成することができた。

今後の研究の推進方策

2019年8月下旬から9月にかけて、南半球で成層圏突然昇温が発生した。南半球で成層圏突然昇温が発生するのは、非常に珍しく以前発生したのは2002年である。成層圏突然昇温が発生すると、南極域成層圏は気温が上昇するだけでなく風速が弱くなる(もしくは、通常時と逆向きの風になる)。風速が大きく変動する場合、中層大気の大気重力波の活動度・伝播過程や発生源は大きな変動を受けると考えられる。
アンデス山脈上空でも風速が非常に弱くなっており、上部成層圏より上空では風向の逆転が起きていたことが、GEOS-FP(NASA/GSFCの全球モデル)の結果からわかっている。
今後は、成層圏突然昇温のイベントに着目し、アンデス山脈上空では風速の変化とともに大気重力波の活動や発生源がどのように変化していくのかを調査していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルスの影響で当初予定していた、NASA/GSFCへの出張が2020年度へ延期となったため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] NASA/GSFC/NWRA(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      NASA/GSFC/NWRA
  • [学会発表] Observation of secondary gravity waves over the Southern Andes during an intense mountain wave event.2020

    • 著者名/発表者名
      木暮 優
    • 学会等名
      JpGU-AGU Joint Meeting 2020
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi