研究課題
本年度は、南極昭和/Davis基地上空の高度87 km付近の大気重力波の観測研究を行った。2016年の大気光(OH)を利用したイメージング観測のデータを我々のグループが開発したスペクトル解析を用いて解析し、大気重力波の季節変動を明らかにした。また、波活動の変動要因についても考察を行った。主な結果は下記の通りである。1. 昭和/Davis基地ともに、冬(6-8月)の波活動度が秋(3-5月)と春(9-10月)に比べて大きい。2.Davis基地の重力波活動が昭和基地に比べて春季に、1/3になることが観測された。2地点は同一緯度にあるため、この結果は2016年春季の南極域重力波活動には経度依存性があったことを示している。この経度変動の原因は、春季に風速が昭和基地に比べてDavis基地上空の方が強かったことに起因する。3. 8月29日に観測された、位相速度の速い(~100 m/s)波の潜在的な波源の調査を行った。この波は、高度45 kmより上空で励起されたことがわかり、成層圏極夜ジェット気流によって励起された可能性が考えられる。もしくは、対流圏ジェット気流によって励起した1次波が砕破することによって生じた2次波である可能性が考えられる。また、両方の励起源から励起した波を観測していた可能性も考えられる。また、我々は本研究を通して、波の鉛直伝播診断ダイアグラム(Probability diagram)を開発した。このダイアグラムは、風の時間変動に伴う波の鉛直伝播状況の変動も表現することができ、重力波の平均的な振る舞いを議論する上で非常に役に立つ。なお、従来の診断ダイアグラムは時間変動を平均風などを使用して導出していたため、風の時間変動を表現することができなかった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件)
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