この研究では、従来のデータ同化システムで時折引き起こされる予測初期における降水表現が実際よりも過剰(スピンダウン)もしくは過少(スピンアップ)となる問題の解決に向けて、モデル変数間の水蒸気量バランスを保つ仕組みを導入することで、観測データや予測モデルとの整合性がより良い高品質の初期値を作成することを試みた。新手法では従来法に比べ、大気中下層で平均的には水蒸気量が減り気温が上がることで観測データに近づきつつも、降水現象のトリガーとなりうる領域では局所的な高相当温位域を解析し、降水を形成する対流の円滑な生成を促し、結果として予報初期の降水再現性が向上することが確かめられた。
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