太陽風は、約11年の太陽活動周期の間に形を変えていく太陽の磁場に応じてその分布が変動していく。太陽活動極小期には太陽極域コロナホールから流れ出す高速太陽風が形成され、太陽活動が上昇するに従い、高速太陽風流れ出すコロナホールが縮小していく。その形成過程を解明するのが本研究の目的である。 太陽観測衛星「ひので」は、2006年の打ち上げ以降、2007年より太陽極域磁場の観測を定期的に行っている。本研究では、第24活動周期(2008年12月-2019年12月)および第25活動周期(2019年12月-)の極大に向かう期間の、太陽極域の微細磁場構造の分布について、その変動を詳細に解析した。その結果太陽活動極小期に太陽極域に存在する磁場局在構造(磁気パッチ)の分布が変動していく過程をとらえた。本年度は極域磁場観測の磁場の導出に関する手法の検証を進めるとともに、太陽コロナ全球を高解像度で再現する磁場モデルの開発を進め、太陽の周期活動とともに太陽全球の磁場の変動を解析した。 本研究では、太陽周期1.5周期分の長期にわたるデータを解析することで、太陽活動極小期では極域の平均磁場強度が最大になり、活動度が極大になる時期に極性が反転、その後の極小期に別の極性の平均磁場強度が最大化、再び活動度が上昇して極性の反転が進む過程を捉えた。またその変動に伴い、磁気パッチの分布が変動していくとともに、全球の磁場構造、特に開いた磁力線の足元に対応するコロナホールが拡大縮小する過程も捉え、これらが全て連動して変動する様子を明らかにした。
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