研究課題/領域番号 |
19K23478
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 太久磨 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (10847106)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | パーソナルモビリティ |
研究実績の概要 |
本研究では,高齢者の安全な移動を目指した知能化パーソナルモビリティの実現のために,合理的な手法で構築可能なデジタル地図情報基盤を開発する事を目的としている.車両制御のためのデジタル地図に関しては,これまでは高精度な測量車両を活用した手法が主流となっており,高速道路等の地図整備は行われていたが,コストの観点から生活道路や歩道等を対象とした地図の作成に課題があった.そこで本研究では,知能化自動車のデジタル地図基盤と相互に情報を共有する事で少ないリソースで有効な情報を互いのデジタル地図に整備するシステムの開発を目指しており,具体的には,1)車道線形データを基にした歩道線形データの再構築手法の開発と,2)パーソナルモビリティの歩道走行データを活用した知能化自動車用の生活道路でのリスク情報整備手法の開発に取り組む. 今年度は,昨年度までに構築した実験車両を活用して,車道に隣接する歩道での走行データを取得した.具体的には,3D-LIDAR,デプスカメラ,IMU,RTK-GPSの同時計測を行った.また,取得したGPS情報から車両の走行軌跡の分析を行い,IMUと車速情報から車両座標系での走行軌跡の分析に取り組んだ.さらに,昨年度に測定した車道線形データを基に,歩道線形データへの変換に取り組んだ.今後は,3D-LIDARで認識した路肩の相対位置情報を基に,各種センサで推定した走行軌跡の精度比較を行い,車道線形データを基にした歩道線形データの実用可能性の評価へと進む予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響によって,大学での研究業務に制限が発生した.また,大学構内への入構制限等によって,実験補助者の確保も難しくなっていた.さらに,同影響によって例年には発生しない多くの対応業務が発生し,研究に専念できる時間が減少した.これらの理由によって,当初計画よりも大幅な遅延が発生した.
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今後の研究の推進方策 |
車道線形データから推定した歩道線形データの実用可能性の評価を継続する.また,大学構内の歩行者等の周辺交通参加者が共存する歩行空間での走行データを取得し,カメラやLIDARの観測情報を基に周辺交通参加者の交通量等を推定するシステムを構築する.そして,時間帯や曜日,天候等の観点から各交通参加者の交通量等を整理し,歩行空間のリスク情報を整備するシステムを構築する.そして,このリスク情報と自動車用の地図を組み合わせる事で,知能化自動車側の運転支援システムへ活用する方法を模索する. なお,2021年度に関してもコロナウイルス感染症の影響によって実験補助者の確保が難しくなることが想定される.そのため,データを取得する環境条件を整理し,シチュエーションを絞り込んだうえでシステム検証に取り組む予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
前記の様に,研究計画に大幅な遅れが生じたため,当初想定通りの予算執行とはならず,次年度使用額が生じた.該当分に関しては,当初の計画上の使途に合わせた形で次年度に使用する予定である.
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