研究課題/領域番号 |
19K23489
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大島 逸平 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (40851845)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 数値解析 / レイリー・テイラーの不安定性 / 微粒化 / 混相流 / 液膜 |
研究実績の概要 |
気流による液膜微粒化過程における横振動特性は、最終的な噴霧特性に強く影響を及ぼす。この液膜の横振動過程において、液膜に働く加速運動に誘起されたレイリー・テイラーの不安定性により、液膜界面に周期的な不安定波長(横波長)が形成すると考えられているが、この横振動機構が本当にレイリー・テイラーの不安定性によるものであるのか未解明である。レイリー・テイラーの不安定性が横波長形成に重要であるならば、液膜に働く複数ある加速運動のうちどの加速運動が横波長形成に強い影響を及ぼしているのかを把握することは横波長を予測するモデルを構築するうえで重要である。
本年度は、昨年度に引き続き数値解析コード(Volume of Fluid法)を改良し精度検証を行った。その後、気液二相流におけるレイリー・テーラーの不安定性問題を対象に数値解析し、線形不安定性解析から得られる気液界面の摂動の成長率と数値解析から得られた界面変動の変位を比較することで数値解析結果の妥当性を検証した。
液膜が鉛直方向に加速運動するとき、レイリー・テーラーの不安定性により一面は不安定化し、もう一面は安定化すると考えられる。相反する効果を持つ二面の界面変動が液膜全体の挙動にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするため、液膜が加速運動する過程を数値解析した。気液の密度比や液膜の厚さに着目して数値実験を行い、液膜の微粒化過程で見られる分裂過程と対応する変形過程を数値解析から得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三次元的な液膜挙動を解析しないと液膜の微粒化過程で見られる分裂過程と対応する現象が見られないと考えていたが、二次元数値解析と三次元数値解析の双方を試行した結果、二次元数値解析であっても今回調べるべき現象の特徴が表れていた。そのため、二次元数値解析をベースに研究を進めることが可能であったため大幅な計算時間の短縮が見込まれており、予定より進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の知見をもとに、液膜が加速運動する過程に重要であると考えられるパラメータを系統的に変化させた数値実験を行い、各種パラメータが界面変動や波長形成に及ぼす影響を数値実験により明らかにする。 また、必要に応じて液膜微粒化の可視化実験を行い、数値実験から得られた計測結果の考察を深めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、本研究に用いる高速度カメラを合算購入する予定であったが、調整がうまくいかず今年度中に購入することができなかった。そこで、次年度頭に調達を開始して改めて高速度カメラを購入する費用に充てる。
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