研究課題
次世代マイクロ流体デバイスのカギとなる微小液滴の挙動制御を目的として,局所加熱による液滴マランゴニ対流の制御に関する研究を行った.具体的には,液滴表面に人工的な温度勾配を作り出し,その勾配に沿って表面張力によって対流を発生させようとするものである.所望の流速および温度を得るためには,液滴の熱流動特性に基づいて加熱条件を緻密に設定する必要がある.ところが,液滴は様々な熱流体現象が連成する複雑な系であり,内部対流を積極的に制御することはおろか,その発生条件・強度および熱伝達を予測することは極めて困難である.本研究期間では,液滴形状が対流発生条件および不安定特性におよぼす影響に着目し,赤外線サーモグラフィを用いてその熱流動現象を観察した.局所加熱を行うにあたって,本研究ではレーザー加熱法を用いたが,将来的にはマイクロ流体デバイスへの組み込みが容易なマイクロヒータを用いることを想定している.実験の結果,接触角が低い場合は,粘性によるせん断力が流れ場を支配するために対流が発生しにくく,接触角90度を超えると複数の渦が発生し,振動を始めることが分かった.さらに接触角を上げ,150度程度になると液滴自身が振動を始める新たな不安定現象も確認された.実験による確認には至らなかったが,流れを支配する無次元パラメータであるレイリー数とマランゴニ数を比較することで,液滴の体積によって対流の発生機構が変化する(すなわち,自然対流かマランゴニ対流か)可能性が示唆された.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
Applied Thermal Engineering
巻: 179 ページ: 115682~115682
10.1016/j.applthermaleng.2020.115682