研究課題/領域番号 |
19K23493
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
松本 直浩 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (80843987)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 炭素ナノ粒子 / 複合材料 / CFRP / 耐摩耗特性 / トライボロジー |
研究実績の概要 |
樹脂を母材として強化繊維を用いる複合材料は、金属材料よりも高強度・軽量・耐腐食性などの特性を有することから、輸送機械における構造部材への適用が近年進んでいる.ただし、樹脂を母材として用いることから、軸受けなど耐摩耗性など摺動による耐久性を要する部材への適用が限定されており、これが改善できれば輸送機械のさらなる軽量化に寄与できる.本研究者が基礎検討を行ってきたナノ球状グラファイト粒子を複合材料の添加剤として適用することで、高い潤滑特性によって複合材料の耐摩耗性の向上が得られると考えられる.本研究ではナノ球状グラファイト粒子添加による複合材料の耐摩耗特性の向上効果を明らかにすることを目的とし,本年度は炭素系ナノ粒子の合成と、母材としてエポキシ樹脂を用いた複合材料の成型、および基本的な摩擦特性の評価を実施した.木材を原料とした手法により粒子径約50nmの炭素系ナノ粒子の多量合成条件を確立し,複合材料成型のための必要量のナノ粒子を得ることが可能となった.さらにエポキシ樹脂中に均一に混合する条件を検討し,添加濃度5wt%の均質な複合材料が成型し,得られた複合材料の引張弾性率が50%向上することが明らかとなった.また,耐摩耗性に強く影響する押し込み硬度が20%上昇したことから,耐摩耗性の向上が期待できる新しい複合材料の成型に成功した.水潤滑条件による摩擦試験より,無添加のエポキシ樹脂に比べて70%の耐摩耗性の向上が確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、ナノ球状グラファイト粒子の多量合成技術の確立を達成しており、複合材料への混合成形条件を確立した.また複合材料の基礎的な機械特性評価を完了し、期待通り引張弾性率および硬度の向上を確認した.これらの関連成果は、国際誌に2報投稿済みであり採録が決定している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は、添加するナノ球状グラファイト粒子の構造制御により、機械特性および摩擦特性向上メカニズムの検討を進め、最適なナノ粒子構造の特定と耐摩耗性に優れた複合材料の開発に繋げる.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の学会開催中止、および実験消耗品の購買延期等により、持越しが発生した。当該年度において、購買を延期した消耗品の購買に加えて、学会開催が再開されれば、積極的な成果発表を行うとともに、オープンアクセス可能な国際誌への投稿費等に充てる計画である。
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