研究課題/領域番号 |
19K23495
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
井尻 政孝 東京電機大学, 工学部, 助教 (10840374)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 機能性キャビテーション / リン酸皮膜 / マグネシウム合金 / ウォータジェットピーニング |
研究実績の概要 |
自動車産業において二酸化炭素排出量の低減のため,車体重量の軽量化が必要不可欠であり,マグネシウム合金の利用が有効であるとされている.しかしながら,マグネシウムは腐食されやすい材料であり,シートフレームやステアリングなどのコックピット内の部材への利用に限られている.本研究ではマグネシウム合金表面の耐食性を向上させるために従来にない新しい液中のキャビテーションを利用した技術を確立する.予備実験ではこの技術を用いてマグネシウム合金表面に加工を施し,リン酸皮膜の形成を確認した.この皮膜は母材の合金との密着性が非常に高いことが明らかとなった.しかしながら,皮膜には微小なき裂が観察された.このき裂は耐食性を低下させる原因であるため,本申請では加工条件の最適化を行い,き裂がない皮膜を形成した後,皮膜の形成状態,塩水噴霧試験(JIS Z 2371)で耐食性を検討する. 研究の進捗報告について,現在までにリン酸を加えたウォータージェットピーニング(WJP)と機能性キャビテーション(MFC)をさらに高能率,高精度のものとして確立することを目的として,各技術の好適なWJノズルから試料表面(スタンドオフ)までの距離を検討した.スタンドオフ距離に関して,WJPでは45 mm,MFCでは65 mmが最適な距離であることが明らかとなった.また硬さ測定や残留応力測定では各加工後で未加工材より向上したことを確認した.膜厚測定は各加工後の試料断面観察より1.55~2.23 μmの厚みの膜の形成を確認した.以上の結果より,本加工技術は耐食性と疲労強度の向上の二つの特性を持つことが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在,コロナウィルスの影響で研究が一か月ほど,中断しているが,特に影響は少なく,現在は計画通りに研究が実行され,成果が出ているため順調に研究が進展している.
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今後の研究の推進方策 |
MFC技術の最適な条件で生成された皮膜の耐食性における評価を行うために塩水噴霧試験(JIS Z 2371)を行う.
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