研究実績の概要 |
【①炭素繊維及び炭素からなる基材の作製】長さ~6mm程度のピッチ系炭素繊維、UHTC(TiC, ZrC, HfC, NbC, TaC)粒子とレゾール型フェノール樹脂を混合・脱泡し、80℃で24h及び130℃において圧力(10~20MPa)で30min硬化することで基材の前駆体を作製した。これをAr雰囲気において950℃12h炭化することで、基材を作製した。上記のように前駆体を用いた基材の作製条件の最適化が完了しており、繊維体積含有率を10~50vol%、UHTC粒子を0~20vol%まで制御可能な作製プロセスを確立した。
【②耐熱合金の溶融及び基材への含浸】Ar雰囲気中、大気圧下、1700℃程度で溶融するZr-Ti合金(63at%Ti-37at%Zr)の基材への含浸によりC/RHECsの作製を試みた。①で示した基材上にZr-Ti合金を載せ、Ar雰囲気中において昇温速度50℃/min、最高温度1750℃で15min保持することでC/RHECsを作製した。溶融温度1750℃は熱力学データベースで予測した1700℃とほとんど一致していることから、複雑な合金系を用いた溶融含浸プロセスに対するMIの有用性が示された。Zr-Tiが溶融し、炭素プリフォームに含浸されたことが確認された。また、Zr-TiとCが反応することで形成したハイエントロピーな炭化物も確認された。さらに、残留した金属内部にも炭化物粒子のみに存在するHfが検出されたことから粒子と金属から生成した複雑でハイエントロピーな固溶体が形成されていることが確認できた。これらの結果から反応で生成する炭化物及び残留する合金どちらもハイエントロピー化することが示された。これは単に複数種の炭化物と炭素を焼結しただけでは得られないため、溶融含浸を用いることの優位性が示されたと考えられる。
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