本研究は,円形主ノズル孔周囲に複数の副ノズル孔を有するノズルから噴出する複数噴流の流れ特性の解明を目的とし,副噴流による円形主噴流の混合制御を試みる. 始めに円形副ノズルを用い,主ノズル孔直径d_1と副ノズル孔直径d_2の比をd_2/d_1=0.5とし,副ノズル孔数が流れ特性に及ぼす影響を調べた.副ノズル孔数を2個~10個に変化させ,定温度型熱線流速計とX型プローブを用いた速度測定実験を行った.その結果,直径比0.5では出口速度比が1の複数噴流が得られた.また,主噴流のポテンシャルコア長さはx_c/d_1=5で,副ノズル孔数の影響はみられなかった.主噴流と副噴流の合流噴流の中心軸上速度は,未発達な領域ではx^-1/2に,完全発達後はx^-1に比例して減衰する.噴流断面をみると,副ノズル孔数によらず副噴流の中心位置はほぼ移動せず個々の円形噴流として発達することで噴流同士の合流が生じることが分かった. 次に,主・副ノズル直径比を0.5としたまま,主ノズルと副ノズルの間隔比をr/d_1=1.5,3,4に変化させ,ノズル間隔の影響を実験的に調べた.その結果,r/d_1=1.5の複数円形副噴流は主噴流のポテンシャルコア長さの延伸に寄与しないが,3以上の間隔比を設けることで主噴流中心軸上でのレイノルズせん断応力を増大し,混合が促進されることでポテンシャルコア長さが短縮されることが分かった.また,主噴流と副噴流の合流完了点で中心軸上速度の減衰(傾き)が緩やかになり,合流噴流は充分下流で円形単噴流を形成する. 最後に,アスペクト比2の楕円形副ノズルを用い,副ノズル孔の形状の影響を調べた.その結果,同じノズル間隔比の円形副ノズルの場合と同様の混合促進効果が得られた.また,個々の楕円形副噴流は軸スイッチングを生じず円形噴流へ変化しつつ広がることで噴流同士が合流することが分かった.
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