マイクロ波無線電力伝送では,受電機が電池切れの場合,送電機が受電機までの電波の伝搬経路を把握できず,給電不能となるジレンマに陥る. そこで本研究では,受電機が電波を直流電力に変換するために搭載する整流器の特性を利用した新たな伝搬路推定法を提案する.例えば,送電機が発する電波の強弱を変化させると,整流器は強電波のみ導通させ,弱電波は導通させず反射する.このとき受電機は,信号源が無いにもかかわらずオン・オフの変調信号を送信しているように振る舞い,送電機はこの疑似的な変調信号を検出することで伝搬路を推定できる. 実験では,提案法により3m内の受電機の伝搬路を8割以上の高精度で推定可能であることを示した.
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