本年度は,昨年度に引き続き,マルチエージェントシステムにおけるリーダー選択問題に取り組んだ.従来研究の多くではリーダーの個数制約に注目したスパース最適化問題が調査されているが,提案手法では制御入力が印加される時間量制約についても注目しており,系の動的特性に基づき,各時刻で大きな影響力を持つ少数ノードの抽出方法について考察した. より具体的には,系の状態空間において各方位に等距離だけ状態を遷移させるために必要となる入力エネルギー量の平均値および最悪値を評価指標として採用した最適化問題を定式化した.定義される問題は組合せ最適化問題の一種であり,最適解を求めることは計算量的に難しい.そこで,凸緩和手法を活用したアプローチを適用し,最適解の必要条件および数値計算手法について獲得した.また,目標状態をある固定のベクトルで与えた際の,リーダー選択手法についても解析を行い,同様に凸緩和手法に基づく数値解法を記述した. 以上の成果については,国際学術誌 IEEE Control Systems Letters や Automatica,また国際会議 IEEE Conference on Decision and Control のワークショップなどで発表を行った.そのほか,3本の論文を IEEE Transactions on Control of Network Systems などの国際学術誌に投稿した.
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