主電源となる同期発電機1機と自律分散インバータ電源(Grid-Forming Inverter)複数機から構成される大規模系統を想定し、分散電源による系統周波数安定度貢献効果について指標化を行った。 2019年度は「仮想同期発電機(VSG)制御」と呼ばれる連系インバータの制御手法(同期発電機の動揺方程式をプログラム上で模擬し、蓄電池エネルギーを慣性エネルギーとして疑似的に利用する制御手法)をMATLAB/Simulink上のモデルとして作成し、大規模系統のシミュレーション回路を作成した。シミュレーション回路は、VSG制御インバータ+蓄電池による分散電源(以降「VSGインバータ」と表記)を無限大母線に接続した一機無限大母線回路や、容量がほぼ等しい同期発電機とVSGインバータによる2機系統回路、主電源となる同期発電機とVSGインバータを複数接続する多機系統回路の3種類を想定し、負荷/発電電力変動が生じた場合の系統周波数の変化について調査を行った。 2020年度は、系統安定化のために要求される分散電源の特性を決定づけるパラメータを指標化する目的で、前年度作成の解析回路の中からIEEE9BUSの3機モデルを使い、慣性中心周波数と制御パラメータと時間の相関関係を可視化した。この可視化は、各電源の種々のトルクを詳細に分析することから成立している。解析の結果、各パラメータにおいて複数分散電源の総設定量と主電源の設定量の比が大きなファクターとなることが得られた。 以上の研究結果を応用すると、系統管理者が電源構成やインバータ制御手法に依存しない普遍的な連系要件を策定可能となることが期待できる。
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