研究課題/領域番号 |
19K23523
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山田 駿介 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 次席研究員 (50811634)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 生分解性 / イオン液体 / イオンゲル / 熱電発電 |
研究実績の概要 |
近年、モノのインターネットと呼ばれる無線センサネットワークを利用した、豊かな社会の実現が注目を集めている。一方、無線センサ端末の電源は有害であり、使用後に取り除く必要がある。しかしながら無線センサ端末の数は10兆個にもなると試算されており、取り除くことは不可能である。本研究の目標は、Si熱電素子を発電素子とした環境調和性をもつ回収不要な電源の開発である。本年度はスーパーキャパシタ作製に注力して、環境調和性電源の蓄電部の研究を行った。イオン液体[MEOTA][MeOSO3]をポリビニルアルコール(PVA)に分散して、イオンゲルを作製し、その電気特性の評価を行った。その結果、イオン液体の重量比が60wt%以上であれば、イオン液体の電気特性を損なわずに、ゲル化できることがわかった。また、引張試験を行い、ヤング率を求めたところ、96kPaと非常に柔らかいことが判明した。光学特性を測定したところ、赤外から紫外まで透過率は90%を超えており、非常に透明だった。イオンゲルの静電容量・イオン伝導度の温度依存性を評価したところ、温度依存性があり、静電容量・イオン伝導度は30度から80度において、3~4倍増加しており、温度センサとしても使用可能であることがわかった。上記イオンゲルはフレキシブルであるが、伸縮性はなく、実用性を考慮すると伸縮性も非常に重要である。伸縮性イオンゲルの開発に向けて、モノマーの選定を行った。生分解性電極としては、Zn、W、Moを候補として選定しており、生分解性をもつ活性材料であるMnO2をこれらの表面に塗布して、スーパーキャパシタの作製に組んでいる。塗布方法に関しては、スクリーン印刷を検討しており、印刷機の仕様を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イオンゲルの作製が順調に進んでおり、本研究の重要な要素である、スーパーキャパシタの作製の道筋がたった。その基礎特性を評価したところ、スーパーキャパシタとして十分な特性を持つことが判明し、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、イオンゲルの作製に注力した。本年度は作製したゲルを用いて、スーパーキャパシタを作製する予定である。作製したイオンゲルの容量を、サイクリックボルタンメトリ、ガルバノスタティックチャージ・ディスチャージを行い測定し、容量1mFを達成する予定である。さらに、Siを超音波ハンダによりハンダ付けを行い、電気的接点をとることを目指す。ハンダしたp・n型Siを直列に接続して、熱電デバイスを作製して、その特性評価を行い予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に想定していた国際学会参加が未達成であり、次年度に購入予定の消耗品を購入したため繰越金が発生した。
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