研究課題
金属層が露出した金属被覆プラスチックの金属剥離処理に効果的な電極配置について詳細な検討を実施した.また,高速度カメラ及びシュリーレン法を用いて放電・衝撃波及び金属片の飛散の様子の観測も行った.金属層が露出した金属被覆プラスチックを処理する場合,金属層と電極との間に空隙を設けると金属層の上に電極を直接配置した場合に比べて負荷への投入エネルギー量及び処理率が増加することを明らかにした.電極配置の影響についてさらに詳しく検討するため,電極と金属層との間の空隙間隔を変更しながら金属剥離処理率を取得した.結果として,空隙間隔が狭い方が処理率は良く,剥離処理に効果的であることを明らかにした.高速度カメラを用いた放電の時間分解観測では,金属層の上に電極を直接配置して処理を行った場合,金属層が樹脂で覆われているCD-R等を対象として用いた場合に比べて多くの箇所で同時に放電が発生することを明らかにした.多点で放電が発生するのは,電極が金属層上に設置されており,電流が分散して流れるためである.また,電流が分散して流れることによって加熱の影響が小さくなるため,処理率も減少すると考えられる.これらの結果からも,電極における空隙の有用性が明らかとなった.シュリーレン法による衝撃波及び金属片の飛散の様子の観測では,金属が樹脂で覆われているCD-R等を対象として用いた場合と同様に衝撃波が発生していることを捉えた.得られたシュリーレン像には煙のようなものが映っており,金属が微粒子化したものと考えられる.金属片は非常に小さいため,飛散速度を算出することはできなかった.本処理方式の実用化を目指し,小型でエネルギー損失の少ないパルスパワー電源の開発に関する研究や衝撃波に関する研究も進めている.これらの結果を用いることで,効果的かつ経済的に処理ができるようになり,本処理方式の実用化に近づくと考えられる.
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Journal of Electrostatics
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