研究課題
研究活動スタート支援
量子力学的に独立に生成した電流・電圧・抵抗の各物理量を、オームの法則に基づいて相互に検証する実験を量子メトロロジートライアングル実験という。本研究では、差電圧測定を行う電圧計に生じるゲインエラー(入力に対する出力のずれ)に着目し、差電圧の動的なトラッキングによる測定不確かさの低減を目指している。この機構の導入によるノイズ振幅の低減効果をシミュレーションするとともに、配線の最適化を行うことで希釈冷凍機中に実装された電圧標準素子の安定動作を確認した。
電気標準
量子メトロロジートライアングルの検証は、量子力学によって導かれた法則がどの程度精確に実現しているかを相互に検証するものであり、基にした現象の確かさを見極める稀有な研究と言える。また、本研究における動的なトラッキングは、これまでになかったリアルタイムのフィードバック補正を可能にするものであり、量子メトロロジートライアングル実験のみならず、微小電圧計測の高精度化・測定回数の低減などにも寄与することが期待できる。