研究課題/領域番号 |
19K23528
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
覃 宇 東北大学, 工学研究科, 助教 (80853241)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | メタン / 嫌気性消化 / 下水汚泥 / 水素発酵 / 熱処理 / 後処理 |
研究実績の概要 |
本研究は既存下水汚泥嫌気性消化槽のポテンシャル拡大に着目し、混合発酵法と消化液後処理の導入によって地域の廃棄物エネルギー化システムの効率化について考察し、実用化に向けた技術システムの確立と効率化を目指す。具体的には、回分実験と連続実験により混合発酵法と消化液後処理の最適化条件を求め、既往に開発された低コスト水素発酵の要素技術と組合せ、微生物群集構造解析および数理モデリングによりメカニズム解明を行う。本研究によって、消化槽を新築せずに地域廃棄物と消化残渣を削減すると共に、既存嫌気性消化槽より地域エネ自給率を向上でき、環境と社会発展の好循環を求める。 本研究の目的は「混合消化法」、「熱的後処理」と「低コスト水素発酵」などの要素技術を組合せ、回分実験と連続実験を行うことで、システム最適化、メカニズム解明とシステム評価を通して、近年に実用化可能な効率化技術システムの確立を目指す。課題の核心として、要素技術の融合・最適化により既存下水汚泥消化槽の廃棄物処理と再エネ供給の上限条件を求める上、システムの定量化評価による最大ポテンシャルについて実用化に向けて提案する。 具体的に次の研究項目に取り込むこととした:①回分実験による「熱的後処理」条件最適化;②後処理を導入したシステムの長期運転特性;③後処理を導入した低コスト水素発酵システムにおける効率化研究。 令和1年度には、まず回分実験によって熱処理を後処理として下水汚泥消化の促進効果を確認し、最適な処理条件が得られた;なお、回分実験によって下水汚泥と紙ごみ、食品廃棄物と混合消化特性を把握した。さらに、連続実験によって下水汚泥と紙ごみの混合消化効果について考察した。成果として論文2編、国内発表3件、国際発表2件が挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は「混合消化法」、「熱的後処理」と「水素発酵」などの要素技術を組合せた効果について行うものである。令和1年度には、連続的に運転された下水汚泥の消化システムから消化汚泥を採取し、回分実験によって、熱処理を後処理として消化の促進効果を確認し、最適処理条件が得られた。また、回分実験によって下水汚泥と紙ごみ、食品廃棄物との混合消化を行い、混合消化に置けるメタン生成の特性を把握した。なお、中温条件と高温条件を用いた連続実験によって下水汚泥と紙ごみの混合消化効果について考察した。ゆえに、当初の研究計画に照らして概ね順調に完成したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度には、これまでに得られた結果に基づいて、後処理を導入した低コスト水素発酵システムにおける効率化研究を中心に研究を行う予定である。低コスト水素発酵システムは連続水素生産を実現するために、発酵液循環によってアルカリ度と水素発酵微生物を絶えずに補充できるようにプロセスを立ち上げる。汚泥の後処理による水素発酵システムへの影響は不明であるため、後処理導入による水素発酵システムの最適化も必要となり、連続運転状況、微生物群集解析、動力学解析など深い視点によるシステムの解明を行う。なお、本研究で得られた結果・知見を発信するために、学術論文を投稿するとともに、本研究で得られた成果を日本学会と国際会議で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの関係で、2020年2月から一部の実験は中止したので、その分に使う予定の消耗品購入費は令和2年度に調整する予定である。残額は令和2年度の消耗品購入費とする予定である。
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