研究実績の概要 |
近年、ライフサイクルコストの低減に有用なコンクリート舗装への関心が高まっている。しかし、積雪寒冷地域では路面に大量の凍結防止剤が散布されることから、アルカリシリカ反応や凍害によるスケーリングといったコンクリート舗装の材料劣化が懸念され、高耐久なコンクリート舗装材料の開発が望まれる。一方、石炭火力発電所から副産物として排出されるフライアッシュを用いたコンクリートは,コストおよび環境負荷の低減に加えて、長期にわたるポゾラン反応によって耐久性が著しく向上することが明らかとされており、近年ではフライアッシュコンクリートを用いた構造物の適用事例が増加している。本研究では、従来のコンクリート舗装材料にフライアッシュを混和した供試体を作製し、各種耐久性およびすり減り抵抗性を評価することで、フライアッシュコンクリートの舗装材料としての適用性について実験的に検討した。 今年度は、昨年度に選定した配合により供試体を作製し、凍結防止剤散布下を想定した凍結融解試験、アルカリシリカ反応試験、塩分浸透試験を実施するとともに、舗装材料としての機能性を確認するために、曲げ強度試験、ラベリング試験を行った。その結果、フライアッシュコンクリートは普通コンクリートと同等以上の曲げ強度発現性および表層材料として必要とされるすり減り抵抗性を有することを明らかとした。また、本研究で選定した配合は普通コンクリート舗装と比して、凍結融解抵抗性、塩分浸透抵抗性、ASR抑制効果に優れることが示された。今後は、耐疲労性を含めた長期的な耐久性を評価する予定である。
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