実験室規模DHSリアクター(スポンジを担体とした散水ろ床型の排水処理装置)を用いて研究を行い、トレーサー試験を主体とする水理学的な滞留特性の解明を行った。流量および装置容積から計算した理論的な滞留時間を0.5から6.0時間に設定した条件において、微生物が付着する前の担体における実滞留時間は、理論的滞留時間に対して10%程度に留まった。装置への散水箇所を増設することで短絡流の改善を試みたが、効果はほとんど確認されなかった。しかし、連続処理運転を開始し、微生物が付着増殖することで、実滞留時間は理論的滞留時間に対して40%程度まで向上した。加えて、突発的な流量の増加が発生する条件における滞留特性を調査したところ、流量が突発的に増加しても短絡流(実滞留時間/理論的滞留時間の大幅な低下)が発生することがなかった。また、保持された微生物の処理ポテンシャルを定量する上で、より簡易的かつ正確に評価する方法を考案するために、DOの減少速度に基づく間接評価方法とCODの減少速度に基づく直接評価方法の相互関係を検証した。その結果、COD除去対象として酢酸ナトリウムを用いた場合に、両者には明確な線形関係があることを示すことができた。
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