昨年度は、本研究で提案された数値手法により得た計算結果を検証するため、折り紙構造の実物模型を作成し、折り紙構造の畳み込み実験を行った。非接触測定手法により折り紙構造の実物模型の畳み込み過程を計測した結果、数値解析から得られた運動経路と一致した。本数値手法の妥当性は検証できたが、実物模型では載荷点が重心位置より高い場合においても畳み込み運動が停止する現象が観察された。そこで、今年度は折り紙構造の実物模型の載荷点の位置、駆動力、重心位置の変化、及び畳み込み過程について調査した。 非接触測定手法による畳み込みと同時に、駆動ケーブルの張力を計測する実験を約10 mm/s の速度で行った。準静的な畳み込み実験では、畳み込み経路と駆動力の関係が一定であるため、速度と加速度の影響を無視できることが分かった。本実験データは重力環境下での折り紙構造の施工時の駆動力制御設計に貢献できると考えられる。 さらに、折り紙構造の実物模型の畳み込み載荷点の位置と、畳み込み終了時の模型形状との関係を調べた。載荷点の位置は、畳み込みが可能範囲と不可能範囲に分けることができることが分かった。また、可能範囲内では、模型の重心位置との位置関係で畳み込み終了時の模型形状が決まることが判明した。特に非対称的な模型では、目指した模型形状を実現するために載荷点の位置を探索する必要がある。 また、本研究の遂行と同時に、数値計算及び模型実験より蓄積したデータを整理し、研究成果の総括を行った。
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