2022年度は2021年度まで新型コロナウイルス禍により実施できていなかった、各自治体への訪問・現地調査を集中的に行った。具体的には、鹿児島県溝辺町(現・霧島市)、宮崎県えびの市、北郷町(現・日南市)、青森県岩木町(現・弘前市)、黒石市、北海道奥尻町、新潟県魚沼市、長岡市、小千谷市を訪問・現地調査を行うことができた。また、情報公開請求により、新潟県魚沼市、長岡市の関連資料の入手をすることができた。 本研究では、研究期間を通して主たる成果として得られたこととして、以下が挙げられる。 「公刊資料の収集および自治体への資料請求により、これまで調査されていなかった移転元地の具体的地名・位置について、既往の研究では明らかとなっていない地域についても特定されたこと。」「各自治体への問い合わせにより、移転元地に関する資料について、資料保管状況がかなり異なること(一部自治体については既に破棄済みの場合もあれば、歴史的公文書として保管されている場合もある)を明らかにしたこと。」「移転元地の具体的範囲の特定できた自治体について、現在の移転元地の状態確認が現地調査を通してなされたこと。」「移転元地は「放置・未活用」と「公共用地としての利用」が大部分であるが、一部に「生産用地(農地など)」としての再活用が存在することが明らかとなったこと。」特に、自治体資料の廃棄状況が明らかとなった点は、本研究では当初想定していなかった事実であり、居住地移転といった地域構造の大きな変容に際する公文書の管理における課題を発見できたと考えている。
|