空の見え方を定量的に表す天空率は、仮想半球に映し出される全ての空間構成要素を反映している。本研究ではまず、地点の天空率の値と空間構成要素の関係を明らかにすることを第1の目的とした。しかし、天空率が同値であっても、道路接続状況や周辺の地物の影響により天空率は同値にはならない。そこで、道路形状等による異なる空の見え方を天空図形状と定義しその類型化を行い、可視化することで空の見え方の規定要因を探ることを第2の目的とした。 2019年度は、2020年度に必要なデータ収集として、Googleストリートビューの画像を用いたDeep Learningによる画像処理で、約5万地点の天空率算出・天空図作成を行った。 2020年度は、まず1つに算出した天空率と用途地域・道路幅員・建物高さ・標高との関係をみた。結果として、以下の3つが明らかになった。①天空率と用途地域の関係は、広幅員道路沿線にある準住居地域の天空率が高く、容積率・建蔽率が高く設定されている商業地域の天空率が低いことが確認できた。そこで、天空率は道路幅員や建物高さとの関係が示唆されたため、②D/H(幅員/建物高さ)が天空率に与える影響を回帰分析により検討し、建物高さに対する幅員が広いと天空率が高くなる傾向が確認できた。③標高が高いと天空率が高くなる傾向が確認できた。 2つに、天空図形状の類型化を行った。まず特徴量として、周辺長・円形度・扁平率・アスペクト比・凸包面積・フラクタル次元を用いて算出し、階層的クラスタリングを行った。その結果、4つのクラスタに分類することとし、クラスタ1は扇型のような形、クラスタ2は比較的丸い形、クラスタ3は細長い形、クラスタ4は高架線や樹木がある形が多くみられ、分類結果を地図上に可視化しその傾向を考察した。これらの成果は学会で発表し、今後は査読論文としてまとめる予定である。
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