本研究は、従来建築設備設計において多種多少な熱源種類、容量を選択するにあたり人手で実施していた業務を完全自動化させるためのアルゴリズム開発を主たる目的としている。 本年度は、ターボ冷凍機、ガス吸収式冷凍機、空冷ヒートポンプ、コージェネレーション、ガスボイラ、ジェネリンク、太陽光発電、蓄熱槽、蓄電池を対象に、15年間のランニングコスト最小化を目的とした最適な熱源構成、熱源容量を決定するためのアルゴリズムを開発した。当該アルゴリズムはメタヒューリスティクスによる熱源構成・容量最適化と、動的計画法による蓄熱槽運用最適化、ラグランジュの未定乗数法による最適負荷配分を組合わせたハイブリッド手法である。本手法によって20%以上の最適化効果を実現した。また、仮に設計時には最適化を施さず、運用時のみ最適化を実施したケースを別途計算したところ、設計と運用の同時最適化と比較して明確に目的関数が悪化していたことから、設備設計の最適化を行う場合には、設計だけ、運用だけではなく、設計と運用の同時最適化が重要であることを示した。
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