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2019 年度 実施状況報告書

中性化を受けたコンクリート中における水分移動特性の体系化および耐久性の検証

研究課題

研究課題/領域番号 19K23562
研究機関国立研究開発法人建築研究所

研究代表者

中田 清史  国立研究開発法人建築研究所, 材料研究グループ, 研究員 (40848941)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワードセメント硬化体 / 中性化 / 空隙構造 / ひび割れ / 水分移動
研究実績の概要

2019年度は,セメント硬化体の水分移動に関わる特性値(水分拡散係数,平衡含水率曲線等)を中性化前後(CO2濃度=5%)で測定し,中性化によってこれらの特性値がどのように変化するかを明らかにする目的で実験を実施した。なお,対象としたセメント種は,当初の普通ポルトランドセメントに加え,高炉セメントとした。
実験の結果,平衡時の含水率は中性化によって低下し,平衡含水率曲線は水粉体比やセメント種によらず同様の形状を示す可能性があることを示された。また,空隙率については中性化によって低下するものの,粗大な空隙の割合は増加した。本研究で実施した実験の範囲では水蒸気拡散係数はいずれの条件でも上昇したが,これは上記のように粗大な空隙が増加したことと関係があるものと考えられる。このことから,両者の関係を比較したところ高い相関性が確認され,この関係は水粉体比やセメント種によらず同一の式で示せる可能性が示された。上記の関係式を応用すれば,任意の条件(セメント種類,水粉体比,中性化度合い)のコンクリートについて,その水蒸気拡散係数を長期間にわたって評価できる可能性があると考えられる。
また,上記の実験と並行して,中性化の過程で生じる収縮ひび割れについて検討を行った。促進中性化の結果,セメント硬化体表面には数μm程度の幅を持つひび割れが発生した。ひび割れ面積率によりひび割れの発生状況を比較したところ,このひび割れは水粉体比が低いほど高炉スラグ置換率が高いほど発生しやすいこと確認された。表面全体に占めるひび割れの面積率は0.2%未満であるが,中性化後の吸水性状を評価する場合にはこのひび割れが影響を及ぼすと考えられ考慮に入れる必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

セメント硬化体の水分移動に関わる特性値が炭酸化前後でどのように変化するかを明らかにするとともに,この変化を評価するための指標(空隙構造変化およびひび割れ密度)を示すことができた。当初の目的を達成できているため「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

1.吸水速度に与える影響評価
セメント硬化体の吸水速度が中性化の前後でどのように変化するかを明らかにするとともに,この変化が空隙構造変化やひび割れの発生と関連付けられるかを明らかにする。
2.中性化したモルタル・コンクリートにおける水分変動の取得
2019年度および上記項目1で得られた知見が骨材を含む系においても適用可能かを検証する。また,中性化したコンクリート(またはモルタル)試験体について,様々な環境に曝露することで中性化後のコンクリート内水分変動に関する基礎データの蓄積を図る。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] セメント硬化体の水分移動特性・水分保持特性に与える炭酸化の影響2020

    • 著者名/発表者名
      中田清史,鹿毛忠継,松沢晃一,兼松学
    • 雑誌名

      コンクリート工学年次論文集

      巻: 42 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 炭酸化したセメント硬化体に生じる収縮ひび割れに関する一考察2020

    • 著者名/発表者名
      中田清史,松沢晃一,鹿毛忠継,関英晶,西尾悠平,兼松学
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術講演梗概集

      巻: 2020 ページ: -

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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