本研究では、障害児のライフステージや心身機能の変化に応じた排泄環境整備に関する事例を集め、家族及び本人が適切な指針を得ることを可能とするアセスメントツールを開発することを目的とする。 昨年度行った自宅訪問調査内容を詳細に分析し、成長や発達に伴う排泄環境の変化をさまざまなパターンに分類した。さらに、排泄場所の変更や用具の付加等児に合わせ適時適切な排泄環境整備を行うことが必要であることを示唆した。また、当事者への排泄環境整備アセスメントツールに関するアンケート調査を行い、ニーズ等を把握した。アセスメントツールに関するニーズは高い一方で焦らせないでほしいといった意見もあり、家族がライフステージや障害児の心身状況を踏まえ広く俯瞰できる必要があると考えた。これらの事例の分析結果及びアンケート調査結果をもとに、障害児の排泄環境整備に関する家族向けアセスメントツールの開発のための有識者会議を開催した。当該ツール対象となる障害像は、肢体不自由のある児(知的障害を合わせ有する児も含む)とその家族とし、使用時期は療育開始頃に活用でき、一目見てわかりやすいように工夫した。当該ツールを素案とし、排泄環境整備の事例やポイント、当事者の工夫・アイディア等を掲載し、A5サイズ32頁から構成される小冊子として開発した。素案のタイトルは「障がいのある子どものこころと体に合った排泄スタイル~住まいのくふう~」とした。 これまで、障害児の成長や発達を活かし促すための排泄環境整備に関する指針等はなかったため、家族が子どもの心身状況及び排泄環境等の情報を整理し、現在の排泄環境の見直しや将来の見通しが立てられるものができたことは大きな成果である。 今後は、この小冊子を用いて実際に当事者家族に配布し使用感等を確認し、広く支援者と共有できるシステムを開発する予定である。
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