超高濃度PVDF溶液から圧電フィルム作製を試みた結果,2つの知見が得られた.1つ目は,溶液濃度はフィルム内の圧電結晶量に正の影響を与えているということである.従来よりも低分子量のPVDF粉末を用いて,安定的に作製可能な溶液濃度を拡大し,自作のラマン分光測定システムを用いて低濃度溶液と超高濃度溶液の結晶量の比較を行ったところ,超高濃度溶液は低濃度溶液に比べて最大26.8倍の結晶量を有するフィルムを示した. 2つ目は,一定の濃度以上のPVDF溶液は無極性結晶を生成するということである.このことから超高濃度PVDF溶液の結晶化は低濃度領域のものとはまったく異なるメカニズムである可能性を示唆した.
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