液体金属は一般的に表面張力が大きく液滴化しやすいことが知られているが,液体インジウム(In)は酸化モリブデン(MoOx)薄膜上で完全濡れ状態となる。本研究の目的は,この特異な系における濡れのメカニズムを解明することである。 酸素量xを制御したMoOx薄膜上における液体Inの濡れ性を評価した結果,xが3に近い場合に完全濡れとなり,このときの界面には(111)配向した酸化インジウム(In2O3)が生成していることを見出した。さらに,In2O3が非晶質の場合には液体Inが脱濡れすることも明らかとなり,(111)配向In2O3の生成がIn/MoOx系における完全濡れ発現の鍵であることを示した。
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