2020年度は以下を実施した. (1)細胞内包液滴の生成と分離:作製したマイクロ流路を用いて,細胞内包液滴の生成と分離を実施した.適切な流量条件に設定した際,細胞内包液滴の直径が未内包液滴の直径よりも大きくなることが観察され,生成した液滴を支柱配列流路に導入すると,細胞内包液滴が未内包液滴から分離される様子を確認できた. (2)細胞包埋ゲル粒子の生成と溶液置換 :マイクロ流路内において,細胞内包液滴の生成,ゲル化,溶液置換といった各種プロセスの連続処理を試みた.分散相としてアルギン酸ナトリウム(Na-alginate)水溶液に細胞を添加したもの,連続相として,コーン油を用いた.また, Na-alginate滴をゲル化する際の反応液には,カルシウムイオンを含む油中水型(W/O)エマルションを用い,置換溶液には,グリセロール水溶液を用いた.十字型マイクロ流路で生成された細胞内包液滴(主滴)とサテライト滴は,下流に連結した支柱配列流路へと流入した後,細胞内包液滴は支柱配列流路内に形成したW/Oエマルション流内および置換溶液流内を斜行・横断し,流れ方向に対して左側の出口より回収された.一方,サテライト滴は,支柱配列流路内を流れ方向へと進み,細胞内包液滴から分離され,流れ方向に対して右側の出口より回収された.作製した細胞包埋ゲル粒子を光学顕微鏡により観察および測定した結果,連続相が油相から水相に置換されており,サテライト滴が除去された単分散な細胞包埋ゲル粒子であることが確認された.
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