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2019 年度 実施状況報告書

骨形成再現に向けた旋回培養法による骨オルガノイド大量作製及び新たな活用法構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K23604
研究機関京都大学

研究代表者

KIM JEONGHYUN  京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特定研究員 (20844591)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワード3次元培養 / 旋回培養 / 骨オルガノイド / 骨細胞
研究実績の概要

骨は破骨細胞による骨吸収と、骨芽細胞による骨形成を繰り返す骨リモデリングを常に行なっている。また、骨中の90%以上に該当する骨芽細胞由来の骨細胞は、この骨リモデリングをコントロールする司令塔としての役割を持つが、石灰化した骨類に埋まれた骨細胞への接近が困難である為、骨芽細胞を骨細胞の研究モデルとして使っているのが現状であり、生体内に存在している状態の骨組織を再現する実験モデルが必要である。一方、組織や細胞の特性を調べる基礎研究において実験管内で実際の臓器より小型・単純だが臓器が有する機能を再現できる3次元構組織であるオルガノイドモデルが注目されているが、未だに骨オルガノイドの報告はないため、骨関連疾患の理解や創薬研究は十分ではない。本研究では工学・医学的技術を用いてin vitro・in vivoで活用できる骨オルガノイドモデルの構築を目的とする。これまでにゲルなどの人工物質を用いた3次元化培養法が報告されているが、これらの人工物質による移植後の拒絶反応のリスクがあるのに対して、今回検討する手法では旋回培養法により多能性幹細胞だけで構築されたオルガノイドを大量作製できる。令和1年度においては、マウス前駆骨芽細胞MC3T3-E1細胞を用いた3次元スフェロイド(spheroid)作製法を確立した。本研究で得られたスフェロイドは、従来の2次元培養法に比べて短い時間で骨芽細胞様細胞から骨細胞様細胞への分化を誘導できる可能性を示した。このスフェロイドモデルに基づいて、令和2年度において、多能性幹細胞を用いた骨オルガノイドの作製法を確立する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和1年度に確立した静置培養・旋回培養法を用いマウス前駆骨芽細胞によるスフェロイド作製及び骨細胞分化能評価を行った。特に、分化誘導因子の無い状態においても、従来の二次元培養法に比べて短い時間で骨芽細胞様細胞から骨細胞様細胞への分化誘導に成功した。現在、このスフェロイドモデルに基づいて、多能性幹細胞を用いたスフェロイド作製法確立のための実験を行なっている。先行研究で行なっていた骨芽細胞様細胞とヒト多能性幹細胞の機械的特性(大きさ、細胞間接着力)が異なるため、新たに多能性幹細胞を用いて細胞密度、旋回速度、旋回時間などの培養条件の最適化が進めている。よって、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

これまでの研究により構築したマウス前駆骨芽細胞を用いたスフェロイドに基づいて、多能性幹細胞を用いたスフェロイド作製に発展させる。このスフェロイドモデルが骨分化また骨形成機能を持つか検証して、骨オルガノイドとしての活用を検討する。また、薬剤による応答・効果など生体内と同様の機能を有する事を確認する。さらに、骨疾患iPS細胞を用いてオルガノイドを作製し疾患モデルへの応用も試みる。これらの、in vitroにおいての検証実験後、骨形成不全モデルのマウスへ移植してin vivoにおいた骨形成機能を検討する。

次年度使用額が生じた理由

Covid-19の為、アメリカ・ボストンで開催予定だった2D-to-3D Culture and Organoids 2020学会が中止となり、使用額が減少したが、次年度の実験系構築に有効に利用できることが確認できたことから、予算の繰越の手続きを行った。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cell Condensation Triggers the Differentiation of Osteoblast Precursor Cells to Osteocyte-Like Cells2019

    • 著者名/発表者名
      Kim Jeonghyun、Adachi Taiji
    • 雑誌名

      Frontiers in Bioengineering and Biotechnology

      巻: 7 ページ: 288

    • DOI

      10.3389/fbioe.2019.00288

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Facilitated osteogenic differentiation of mouse pre-osteoblast cells in three-dimensional tissue engineered constructs2019

    • 著者名/発表者名
      Jeonghyun Kim, Taiji Adachi
    • 学会等名
      日本機械学会 第30回バイオフロンティア講演会
  • [学会発表] Effect of three-dimensional structure for pre-osteoblast cells on osteocyte differentiation2019

    • 著者名/発表者名
      Jeonghyun Kim, Taiji Adachi
    • 学会等名
      4th Africa International Biotechnology and Biomedical Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Enhancement of osteocytogenesis for pre-osteoblast cells in three-dimensional spheroid culture2019

    • 著者名/発表者名
      Jeonghyun Kim, Taiji Adachi
    • 学会等名
      10th Asian-Pacific Conference on Biomechanics
    • 国際学会
  • [学会発表] Pre-osteoblast cells in three-dimensional spheroids evoke in vitro osteocytogenesis2019

    • 著者名/発表者名
      Jeonghyun Kim, Taiji Adachi
    • 学会等名
      日本機械学会 第32回バイオエンジニアリング講演会
  • [備考] 京都大学ウイルス・再生医科学研究所バイオメカニクス分野

    • URL

      https://www2.infront.kyoto-u.ac.jp/bf05/index.html

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公開日: 2021-01-27  

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