研究課題/領域番号 |
19K23610
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
横山 早織 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80843515)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / インパルスオシロメトリー / IOS / 慢性気道疾患 |
研究実績の概要 |
気管支喘息は、病態、臨床像、治療薬への反応性など多くの多様性に富む不均一な疾患であり、診断・治療指針としてのガイドラインが策定されているものの、実臨床においては難治例も多い。その多様性の面から、臨床的、および病態生理学的特性を喘息表現型、フェノタイプを考慮した治療戦略が求められている。 また一方で、インパルスオシロメトリーシステム(IOS)は、努力性呼気が必要なスパイロメトリーと比較して、安静呼気のみで呼吸インピーダンスを呼吸抵抗と呼吸リアクタンスに分け、大小の気動のパラメーターを評価解析できる、非侵襲的な検査装置である。その信号は中枢、および末梢気道の閉塞の程度を定量化する。 そこで、IOSによる気管支喘息の亜型分類が、気管支喘息治療薬である吸入ステロイド薬(ICS)の粒子径に応じた治療効果との関係を明らかにし、IOSが気管支喘息、慢性咳嗽を呈する慢性気動疾患における診断・治療で有用なツールの一つであることを示した。IOSによって閉塞部位を、中枢優位型(CPタイプ)、末梢優位型(PPタイプ)、抵抗なし型の3つに分け、ICSの粒子径は、粗粒子径、小粒子径、中粒子径の吸入薬を、患者にランダムに割当て、ガイドラインに沿って治療を行い、自覚症状の客観的な尺度であるAHQスコア、ACTスコア、FeNO、スパイロメトリーによって治療効果の評価を行った。 これらの結果から、ICS投与の前に気管支喘息の患者に対してIOS検査を実施する必要があり、CPタイプには粗い粒子サイズのICS、PPタイプには細かい粒子サイズのICSを使用することが推奨されること、IOSパラメーターの表現型の違いは、ICSの有効性に関係している可能性を示唆した。 IOSの観察から、中枢気道病変で優勢なBAと末梢気道病変で優勢なBAの表現型が存在することが明らかになった。 以上の結果を現在、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的である、「慢性気道疾患におけるIOSを用いた非侵襲的バイオマーカーの確立」の中で、気管支喘息におけるIOSでの亜型分類が、より有効な治療戦略を導く可能性を示唆することを明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
気管支喘息におけるIOSの実臨床における役割を示唆する内容の発表は、現在論文投稿中であり、日本呼吸器学会似て発表予定である。今後、他の慢性気道疾患、具体的には例えばCOPDについて、IOSを用いた分類が治療戦略や予後の予測に役立つパラメーターになりうるとして、現在症例検討中である。
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