研究課題
気相中で冷却されたバリノマイシン(VM)-金属(Na, K)錯体とその水和クラスターの赤外スペクトルを測定し、量子化学計算との比較から錯体の分子構造を決定した。VM-金属錯体ではK+のみならずNa+でも同様に八面体型六配位構造をとることが分かった。一方、水和クラスターでは水分子の結合サイトがK+とNa+で大きく異なり、VM-Na+錯体では水1分子でVM骨格が大きく歪むことが分かった。密度汎関数法によるエネルギー計算の結果から、VMのK+選択性はVMの空孔とイオンサイズのマッチングの効果とVM-金属錯体の溶媒和安定化の効果の両者が重要であることが分かった。前者は理論計算で予測されていたが、本研究の進展により初めてこれが実証された。後者はこれまで考えられてこなかった全く新たな効果であり、バリノマイシンのみならず多様なイオン選択性分子においても同様の効果が発現する可能性が示唆された。
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Physical Chemistry Chemical Physics
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