現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノールや2,2,2-トリフルオロエタノールに代表されるフルオロアルコール類は、ラジカルカチオンを安定化する溶媒効果が知られている。本研究はこの性質に着目し、フルオロアルコール骨格を1分子中に複数個有する集積化分子群を合成し、ラジカルカチオン安定化をはじめとする特異な性質を示す機能性分子の創出を目指すものである。 本年度は、市販のフルオロアルコールとチオール類を用い、エンーチオール反応によりフルオロアルコール部位を複数有する分子群の合成に取り組んだ。2ーアリルヘキサフルオロイソプロパノールとチオグリコール酸エステル類を用いることで、同一分子内にフルオロアルコールを1ー4つ有する分子を合成した。核磁気共鳴装置を用いた構造解析により、所望のフルオロアルコール集積分子群が得られていることを確認した。この手法は、市販原料から1ステップで目的分子を合成することが可能であり、またグラムスケールでの大量合成も可能であることを確認している。そのため、今後予定している分子機能評価を円滑に遂行する上で、重要な原料合成手法を確立することができたと考えている。以上から、本研究はおおむね順調に進展していると評価している。
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