研究課題
初年度は、ペロブスカイトナノ粒子の一般的な合成法として報告されているホットインジェクション法を用いて、緑色発光性CsPbBr3ナノ粒子の合成に取り組んだ。しかし、高温で溶液を混合し5秒後に急冷する本手法では、再現性の低さやスケールアップが困難であるという問題点が見えてきた。そこで、2年目は、溶液法に替わる合成手法として、再現性よく材料のスクリーニングが行え、スケールアップも容易な、ボールミルを用いた固体反応に着目し、本手法を用いたペロブスカイト半導体の開発に取り組んだ。ボールミルを用いた固体反応により、3次元ペロブスカイト構造をもつCsPbBr3および、0次元ペロブスカイトと呼ばれるCs4PbBr6の合成に取り組んだ。原料であるCsBrとPbBr2を1:1の割合で容器に加え、ボールミルを用いて混合したところ、3次元CsPbBr3が選択的に得られた。一方、CsBrとPbBr2を4:1の割合で反応させたところ、0次元Cs4PbBr6が選択的に得られた。これらの結果は、CsBrとPbBr2を4:1の割合で溶かした溶液を用いてスピンコートにより作製した薄膜ではCsPbBr3とCs4PbBr6の混合物が得られたこととは対照的であり、前駆体材料の量比に合わせて選択的に生成物が得られるというボールミル法の特徴を示す結果である。ボールミル法によって得られたCs4PbBr6粉末は、519 nmに蛍光量子収率17%の固体発光を示した。さらに、合成したCsPbBr3粉末にアルキル配位子を加えてボールミル反応を行うことで、10 nm程度の大きさのCsPbBr3ナノ粒子が合成できることも見出した。
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