研究課題
2004年のグラフェン発見以来、2次元に原子が規則正しく並んだシート状の化合物である2次元高分子(2次元ポリマー)は、その特異な性質から、研究者の関心を集めている。2次元ポリマーの物理的な研究が大いに進む一方、2次元ポリマーの化学的な合成法は未だに確立されておらず、合成面での発展は 喫緊の課題である。本研究課題では複雑で高次な構造のπ共役2次元ポリマーをボトムアップ的に合成する方法を研究している。本年度は昨年度からの二次元ポリマーの反応条件をさらに展開し、液相中での合成と、金属表面上での反応の二つの異なる環境下での反応を検証した。特に、新規の反応条件を見出すことにより、これまで導入が実現されてこなかったシリコンなどのヘテロ原子を含む共役2次元ポリマーを合成できることを見出すに至った。これらの努力を続け天然に存在しない合成π共役2次元ポリマーを生み出すことにより、グラフェンなどの天然物を超える物性を示すπ共役2次元ポリマーが見出されることが期待される。該当の内容の一部をまとめた内容を、原著論文としてオンラインアーカイブに公開するとともに、専門誌に投稿した。また、研究期間全体では日本化学会の第100、101回年会で発表を行い、コミュニティへの成果の還元をおこなった。特に同100回年会では若い世代の特別講演証を授与された。さらに、該当研究の内容を含んだ研究課題に関して、公益財団法人エヌエフ基金より、研究開発奨励賞に選出され、その受賞式での発表会での発表内容から特に優秀と認められる優秀賞に選ばれた。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件)
arXiv
巻: 2021 ページ: 2111.10124