研究課題/領域番号 |
19K23646
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉本 悠 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (30848841)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | マイクロ流体デバイス / バイオセンサ / 微小電極 / メディエータ型酵素電極反応 / グルコースデヒドロゲナーゼ |
研究実績の概要 |
酵素電極を用いたバイオセンサは、基質特使性が高く、迅速・高感度に測定できる利点を持つ。しかし、バイオセンサのシグナルは酵素活性と、基質・メディエータの拡散の両方に依存するという問題がある。これまでの研究より、酵素活性が非常に高い場合、微小電極を用いることで、電極近傍での基質流量をすべてメディエータ流量に変換できることが明らかになった。しかし、この状況を実現できる酵素の数は非常に少ない。一方、マイクロ流体デバイスは、極微小サンプルで測定できる、反応速度を上げられるなど、多くの利点を持つ。本研究では、マイクロ流体デバイスを用いて、通常活性の酵素を用いた場合にも基質流量をすべてメディエータ流量に変換し、酵素活性に依存しないバイオセンサを開発する。 本年度は基本反応の確認と、微小バンド電極およびマイクロ流路の作製を行った。基本反応の確認のために、酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼ、メディエータとしてベンゾキノンを用いた。ここに基質としてグルコースを加え、市販の直径25 μmの微小金電極を用いて電気化学測定を行ったところ、メディエータ型酵素電極反応が問題なく実行できることを確認した。微小バンド電極は、まずガラス基板にネガティブフォトレジストをコートした後、マスクを重ねて露光・現像を行い、電極パターンを形成した。ここにクロム、金の順にスパッタを行い、レジストの溶解を経て幅10μmの微小バンド金電極を作成した。様々な流路幅(100μm ~500μm)のマイクロ流路は、アクリルをダイサーで加工することで作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は電気化学測定のためのマイクロ流体デバイス作成を主な計画としており、予定通り微小バンド金電極とマイクロ流路を作成できた。また酵素とメディエータの準備、およびそれらを用いた基本反応の確認も完了している。次年度からこれらを用いた実験が可能であり、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
作製した微小バンド金電極と、様々な流路幅のマイクロ流路の性能を評価するために、まずメディエータのみを入れた状態で電気化学測定を行い、得られる電流が理論式と一致するか確認する。性能に問題がないことを確認後、酵素、メディエータ、基質を入れ電気化学測定を行い、マイクロ流体デバイスのメディエータ型酵素電極反応に対する影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に参加を予定していた学会が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となったため。残った予算は少額であり、この予算は次年度の消耗品購入に充てる。
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