本研究課題では、蒸気に応答して可逆的に色や発光色を変化させる性質、「ベイポクロミズム」に関して、これを多段階化させ、蒸気定量可能性を探索することを目的とした。多段階化には、化合物に対してある一種類のゲスト分子を異なる組成で含んだ複数の結晶構造を安定化する必要があり、本研究ではハロゲンを有する金属錯体について検討を行った。 その結果、種々の有機溶媒蒸気に応答してベイポクロミズムを発現する金属錯体の創製に成功し、それぞれの結晶構造においてハロゲンが多様な相互作用様式を示していることが分かった。また、同一組成でありながら結晶構造のみ異なる、結晶多形を示す物質が創製できる可能性が示唆された。
|