有機材料は分子間がファンデルワールス力により結合しているため、圧力に対して分子間距離および相互作用が大きく変化すると期待される。本研究ではマイクロ波電気伝導度測定法を用いて、圧力印加時の伝導度変調の評価法を確立した。有機材料としてチエノアセン類をフレキシブル基板上に成膜して空洞共振器内部に設置し、基板の曲げにより内側の材料に圧力が印加される。 X線回折実験では、有機半導体膜に導入できた最大歪みは0.8%程度であった。マイクロ波伝導度測定法により電気伝導度信号の増大が観測されたが理論計算ではバンド構造にはごく僅かな変化しか見られず、有効質量の減少ではなく緩和時間の増加に起因する可能性が示唆された。
|