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2019 年度 実施状況報告書

電子伝達を機能する分子接着剤により結合した光触媒アセンブリの構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K23652
研究機関中央大学

研究代表者

中田 明伸  中央大学, 理工学部, 助教 (20845531)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワード人工光合成 / 光触媒 / 電子伝達 / クリック反応 / 水分解
研究実績の概要

本研究では、分子導線を開発して光触媒粒子を選択的に結合する、これまでにない手法で新たな電子伝達系を構築することを目的としている。これを実現するためには、水の酸化/還元それぞれの反応を担う2種類の光触媒間の電子伝達に整流性を付与することが重要課題であり、光電子伝達の方向性制御と効率化を実現する汎用的な手法の確立が不可欠である。本研究では、光触媒粒子表面におけるクロスカップリング反応により異種光触媒粒子のヘテロ結合を形成し、選択的な電子伝達を実現する「分子接着剤」の開発に挑戦する。2019年度は、表面クリック反応により半導体光触媒粒子を結合した複合体形成と水分解特性を検討し、以下の成果を得た。
1. クリック反応の一つであるフィスゲン反応を進行する末端アセチレンおよびアジド分子を合成し、分子に導入したリン酸アンカーによって金属酸化物光触媒表面に吸着することに成功した。
2. 金属酸化物光触媒表面にそれぞれの分子を吸着した複合体同士をクリック反応による結合形成に成功した。
3. 異種光触媒粒子が結合した複合体を用いた光触媒水分解反応の進行を確認した。
上記の検討により、光触媒粒子を結合するクリック反応条件の最適化、および得られた複合体のキャラクタリゼーション手法を確立し、2020年度に検討する分子導線としての機能発現に向けた土台づくりに至った。2020年度は修飾する分子にレドックス特性を付与することで、光触媒粒子間の電子伝達を制御可能な複合体光触媒の設計開発を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度の研究計画は以下の通りであった。表面クリック反応により半導体光触媒粒子を結合した複合体形成と水分解特性の検討(2019年度後期):水を酸化および還元する半導体光触媒としてBiVO4とRhドープSrTiO3をそれぞれ用い、これら表面に上記1)で合成した2種の接着分子を修飾する。表面に固定化した分子によるクロスカップリング反応により、BiVO4とRhドープSrTiO3のヘテロな光触媒粒子が選択的に結合できると期待される。得られたヘテロ光触媒複合体は、結合部位特異的な分光分析や電子顕微鏡などによりキャラクタリゼーションを行うとともに、水分解光触媒性能を測定し、複合化による効果を評価する。それに対し、2019年度の研究実績として、
1. クリック反応の一つであるフィスゲン反応を進行する末端アセチレンおよびアジド分子を合成し、分子に導入したリン酸アンカーによって金属酸化物光触媒表面に吸着することに成功した。
2. 金属酸化物光触媒表面にそれぞれの分子を吸着した複合体同士をクリック反応による結合形成に成功した。
3. 異種光触媒粒子が結合した複合体を用いた光触媒水分解反応の進行を確認した。
を挙げていることから、概ね研究計画どおりに順調に進行していると評価する。

今後の研究の推進方策

SC光触媒間の電子伝達を効率化するためには、上述の接着だけでなく、電子移動方向を制御することが重要である。これまで報告されている水分解系では、水を酸化する光触媒(人工PS II)と還元する光触媒(人工PS I)の間の電子伝達の方向性を制御する手法が確立されておらず、目的とするPS II → PS Iだけでなく、逆向きのPS I → PS IIや、同じ種類のSC同士で電子伝達が容易に起こってしまう。これらは電荷の再結合反応であるため、目的の水分解H2製造に結びつかず反応効率低下の原因となる。
2019年度は、表面クリック反応により半導体光触媒粒子を結合した複合体形成と水分解特性を検討し、以下の成果を得た。
1. クリック反応の一つであるフィスゲン反応を進行する末端アセチレンおよびアジド分子を合成し、分子に導入したリン酸アンカーによって金属酸化物光触媒表面に吸着することに成功した。
2. 金属酸化物光触媒表面にそれぞれの分子を吸着した複合体同士をクリック反応による結合形成に成功した。
3. 異種光触媒粒子が結合した複合体を用いた光触媒水分解反応の進行を確認した。
そこで2020年度は、接着分子の表面修飾基、接着部位、HOMO-LUMO準位など化学因子の変調により分子軌道やエネルギー傾斜を制御し、人工光合成アセンブリにおける電子伝達の整流化と水分解の高効率化に資する接着分子の設計指針を示す。

次年度使用額が生じた理由

ごく微小な残額であり、翌年度使用に影響を与えない。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 表面クリック反応による半導体光触媒粒子の複合化2020

    • 著者名/発表者名
      栗山智帆、張浩徹、中田明伸
    • 学会等名
      日本化学会第100春季年会

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公開日: 2021-01-27  

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