細菌集団の動きを一つ一つの細菌に落とし込んで計算をし直した点に本研究の意義がある。一つ一つの細菌は個体差があり,その動きを数理モデルで捉えることが難しかった。ベイズ統計の手法によるばらつきを包括的に扱う試みはカビやウイルスによる健康被害の計算にも応用可能であり関連する研究分野への波及効果が高い。学術会においては,リスク評価の観点から確率的なアプローチが重要となっている。モデル作成から予測まで一貫して確率的なモデルを構築可能とした本研究は,健康被害を確率論的に論じる上で重要な役割を担うと考えられる。社会的意義としては,HACCPでの工程管理をお行う際の微生物学的安全性の計算に役立と考えられる。
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