現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
窒素固定細菌A. vinelandii由来OMVの形成機構と新規機能を解明するため、特筆すべき結果を含む以下の成果を得た。 膜小胞に多量に含まれるAvin_16040について、高分解能のX線結晶構造解析に適した結晶を作製した。 OMV形成に関わると予想されるAvin_16040近傍機能未知遺伝子7種類(Avin_15990, 16000, 16020, 16050, 16080, 16090, 16100)について、各遺伝子破壊株を走査型電子顕微鏡観察に供した結果、細胞膜の形状はいずれも野生株と類似しているため、今後、多重遺伝子破壊株を解析する。また、OMVの形成における細胞膜の変形について、エネルギー消費型のタンパク質GTPaseが関わると予想し、A. vinelandiiのゲノム中に含まれる機能未知タンパク質を含む3種類のGTP加水分解酵素遺伝子(Avin_15540, 18960, 45830)破壊株を育種した。その結果、興味深いことにいずれの3株も細胞の長さが野生型と比較して長くなっており、特にAvin_45830破壊株は細胞長が5倍以上長くなっていた。Avin_45830は細胞質局在性を示すタンパク質翻訳に関与するBipAのホモログタンパク質であり、既にOMVにも内包されることを明らかにした。本結果は、細胞長が異常に長大化することを観察した新規な成果であり、Avin_45830が正常な細胞膜の合成・切断に重要であり、OMV形成にも関与する可能性があることを示唆している。 さらに、A. vinelandii由来OMVと他のグラム陰性細菌B. thetaiotaomicronのOMVのプロテオーム解析の結果を比較し、83種のタンパク質が重複して含まれることを明らかにし、OMVの普遍的な形成機構を解析する端緒を得た。
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