研究課題
アポカロテノイドはカロテノイドが酸化分解をされた構造をもつ分子の総称であり、多様な生物活性をもつ天然化合物の一群である。その多くは植物ホルモン・香料・ビタミンなど多彩な機能をもつことからも、更なる新規分子構造の探索が望まれている。アブシジン酸やストリゴラクトン等の有名な植物のホルモンの他、近年、また新たに多様なアポカロテノイドが植物ホルモンにアポカロテノイド生合成の最初のステップは、カロテノイドを切断する「カロテノイド酸化開裂酵素(Carotenoid Cleavage Oxygenase, CCO)」により触媒され、様々な生物種から多様な基質特異性を示すものがみつかっている。本研究では、各種カロテノイドを生合成する組替大腸菌に、異種由来の様々な特異性をもつCCO遺伝子を掛け合わせて発現・進化工学し、天然・非天然アポカロテノイド多様性を生み出すことを目指す。本年度は、昨年度までに使用した技術を掛け合わせ、非天然・新規なアポカロテノイド生産に取り組んだ。まず、6種のカロテノイドをそれぞれ選択的に生合成するためのコンストラクトを発現させた大腸菌株を作製した。これら6つカロテノイド株に、綿密に制御をしたCCOを発現させた。その発現量とタイミング制御により、これまで生産されたことのない新規アポカロテノイド(新規レチナール)を5種検出することができた。また、このうち複数の化合物については、副産物も同時に生産されていた。そこで、CCOタンパク質の酵素工学を行い、キャビティを広げる変異体を複数作製した。これらの変異体を、カロテノイド生産株に発現させたところ、複数の新規アポカロテノイドをより選択的に生産することができた。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
ACS Synthetic Biology
巻: 12 ページ: 1072~1080
10.1021/acssynbio.2c00578
Methods in Enzymology, Carotenoids: Carotenoid and apocarotenoid biosynthesis metabolic engineering and synthetic biology
巻: 671 ページ: 351~382
10.1016/bs.mie.2022.03.008
生物工学会誌
巻: 100 ページ: 382~382
10.34565/seibutsukogaku.100.7_382