研究課題/領域番号 |
19K23704
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
ティルラセンバラム シヴァクマール 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特任研究員 (00826711)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | バベシア / Babesia sp. Mymensingh / 牛 / 国際分布 / 感染宿主 / PCR / スリランカ / 病原性 |
研究実績の概要 |
臨床症状を引き起こす新たな牛バベシア種(Babesia sp. Mymensingh)の国際分布と感染宿主の解明を行った。昨年度スリランカにて、牛に臨床症状(貧血、発熱、血色素尿など)を誘起する新たな病原性バベシア(Babesia sp. Mymensingh)を発見したことを報告した。2019年度の本研究では、スリランカ(牛と水牛)、フィリピン(牛)、ベトナム(牛、水牛、羊、及び山羊)、モンゴル(牛)、ウガンダ(牛)、ブラジル(牛)、及びアルゼンチン(牛)の血液由来DNAサンプルを用いて、Babesia sp. Mymensinghに対するPCRスクリーニング解析を行った。その結果、ブラジル以外のすべての国からBabesia sp. Mymensinghが検出され、Babesia sp. Mymensinghはアジア、アフリカ、及び南米に広く分布していることが明らかになった。また、牛、水牛、羊、及び山羊から本バベシア種が検出され、Babesia sp. Mymensinghの宿主域の広さも示された。本研究は、スリランカ・獣医学研究所、フィリピン・セブ工科大学、ベノナム・フエ大学、モンゴル・獣医学研究所、ウガンダ・マケレレ大学、ブラジル・バイア獣医協議会、及びアルゼンチン・農業技術研究所との国際共同研究の成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度では臨床症状を引き起こす新たな牛バベシア種(Babesia sp. Mymensingh)に対する特異的な遺伝子診断用PCR法を確立し、かつBabesia sp. Mymensinghの国際分布と感染宿主を解明できた。当初予定していた達成目標のほとんどを2019年度に解決できたことから、当初の計画以上に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
異なる国々に分布するBabesia sp. Mymensinghや、異なる宿主に感染するBabesia sp. Mymensinghの遺伝子解析を行い、それぞれの遺伝学的特性を明らかにする。また、その特性から、病原性、宿主性、国際分布に関与する遺伝子多型マーカーを明らかにするとともに、Babesia sp. Mymensinghの起原を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的蔓延により、国際疫学調査のための外国への渡航に制限が生じた。次年度の使用が生じた500,000円は、翌年度分として請求した助成金(直接経費:1,100,000円)と合わせて、国際疫学調査の再開による旅費及び血液DNAサンプルの遺伝子解析に関する消耗品の購入費等に使用する予定である。
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