本研究では、自己免疫疾患モデルマウスにみられる卵管pick-up障害の卵管上皮病態と、その原因となる分子病態に迫った。本マウスでは、卵管間膜の線維化による卵巣嚢孔の形態変化に加え、卵管の線毛運動速度の低下および線毛運動方向のバラつきがpick-up障害を招くことが示唆された。さらに本マウスでは、自己免疫疾患の発症に伴って卵管ロートにおけるヘッジホッグ経路関連分子の発現が顕著に低下することを明らかにした。ヘッジホッグ経路関連分子は成体上皮の修復過程においてその恒常性を担うため、本経路の減弱化が卵管上皮病態と関与する可能性が高く、卵管pick-up障害発症の根幹を担う分子病態解明の鍵となる。
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