研究課題/領域番号 |
19K23710
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
三河 翔馬 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (20845664)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | セロトニン / 腎線維化 / 血小板 / セロトニン受容体 / ドラッグリポジショニング / 線維化 / 水腎症 |
研究実績の概要 |
本研究は、セロトニン(5-HT)と腎線維化に着目し、5-HTを豊富に含む血小板から分泌された5-HTが炎症細胞や腎間質細胞に働き、炎症や線維化を調節しているのではないかという仮説を検証し、CKDの新たな治療法開発の基盤を構築することを目的としている。 本年度は血小板からの5-HT放出が起きないFH/Hamラットと野生型としてWisterラットを用い、片側尿管結紮(UUO)モデルを作製し、水腎症による腎線維化の過程について評価し以下の知見を得た。 (1)UUOモデルにおいて、水腎におけるコラーゲン(COL1A1)およびアクチン(ACTA2)のmRNA発現がFH/HamラットのほうがWisterラットに比較して、少ないことが示唆された。(2) UUOモデルにおいて、水腎におけるベータ型変異増殖因子(TGFB1)のmRNA発現はFH/HamラットとWisterラットで差がないことが示唆された。以上の結果より、血小板由来の5-HTが腎臓の線維化に関与していることが示唆されたが、その経路はTGF-βより下流もしくは別の経路による可能性が示唆された。 今後、サンプル数を増やし上記の点を明らかにしつつ、培養細胞を用いて腎線維化に関与する5-HTシグナルについて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はFHラットにおいて、水腎症による線維化関連mRNA発現が減少する可能性を明らかにした。これは、血小板由来の5-HTが腎臓の線維化に関与している可能性を示唆するものであり、これまで考えられてきていない新たな経路を示す、新たな知見である。しかしまだサンプル数がすくないため、正確な評価のためにはより多くのデータが必要である。またどのような経路により、5-HTが腎臓の線維化に関与しているかを明らかにしていく必要がある。本年度の結果では、FHラットとWisterラットでTGF-βのmRNA発現に差が無いことが示唆された。これはこれまで皮膚や肝臓の線維化の際に考えられていた5-HTの経路と異なり、当初の仮説よりも複雑な経路が存在している可能性がある。本年度はデータ数を増やしつつ、5-HTとセロトニンの関連に関する経路ついても明らかにし、分子機構の解明を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、5-HTとセロトニンの関連に関する経路ついても明らかにすることを目標とする。そこでvitroの実験系を用い、TGF-βによって刺激し線維化する過程をセトロニンや血小板との共培養によって増強されるかを評価する。また炎症細胞のリクルーメントなど間接的に線維化に関与している可能性もあるため、炎症の評価も実施する。FHラットはコマーシャルラボの個体を使いつつ、自家繁殖も開始し、実験に必要な頭数を確保していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
導入予定の遺伝子改変動物が導入元の微生物学的検査結果の兼ね合いから、発生工学で作出する必要が生じた。そのため。マウスの移送費として初年度計上していたものを次年度の発生工学に使用する予定である。
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