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2019 年度 実施状況報告書

ラットES細胞を用いたナイーブ型幹細胞が持つ潜在的多能性の活性化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K23711
研究機関生理学研究所

研究代表者

及川 真実  生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 特任研究員 (30732903)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワードナイーブ型幹細胞 / 多能性 / ラット
研究実績の概要

ラットES細胞から、エピブラスト様細胞(EpiLC)を効率的に分化誘導することを目指し、まずは基本的な培養条件を探索した。マウスにおけるEpiLC分化誘導条件を適用したが、ラットES細胞は分化も、増殖することもできなかった。そこで複数の条件を検討した結果、特定の培養条件下では細胞が生存することを見出した。この条件での細胞培養を継続し、12時間の間隔で細胞を回収し、遺伝子発現解析および免疫蛍光染色を行ったところ、ES細胞で高発現を示すKlf4、Klf5、Nanog、Sox2遺伝子の発現低下、およびエピブラストにおいて高発現を示すDnmt3b、Otx2遺伝子の発現上昇を確認することができた。さらに、分化誘導をする際の細胞数、各種サイトカインの濃度、培養プレート等を調整し、毎回安定してEpiLCを誘導できる最適な条件を決定した。さらに、このEpiLCから始原生殖様細胞(PGCLC)への分化誘導も試みた。この実験には、Prdm14-H2BVenusを持つES細胞を用いた。Prdm14は初期のPGCにおいて高発現を示す遺伝子であり、欠損させると正しくPGCが形成されず、最終的に個体は不妊になることがわかっている。ES細胞をEpiLCに分化させ、さらにPGCLCの誘導条件下で培養し、フローサイトメトリーで解析した結果、数%から十数%のPrdm14-H2BVenus陽性細胞が出現していた。これらの陽性細胞を回収し、遺伝子発現解析および免疫蛍光染色を行った。その結果、ES細胞およびEpiLCに比べ、これらの細胞ではPGCマーカーであるPrdm14、Blimp1、Dnd1、Tfap2c、Nanos3遺伝子が高発現しており、PGCLCに分化できていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ラットES細胞からEpiLCを分化誘導する基本的な培養条件を確立することができた。さらに培養条件を検討し、最適な細胞数、サイトカインの濃度を決定することができた。現在は、常に安定してEpiLCを分化誘導することができ、さらに先のPGCLCまで分化誘導する段階まで遂行できているため。

今後の研究の推進方策

ナイーブ型幹細胞であるラットES細胞は、マウスES細胞と同様に、EpiLCを経由することで、分化能の潜在的な活性化が起こり、PGCLCへの分化誘導が可能になったと考えられる。この事象にはEpiLCへの分化が不可欠であるのかを確認するため、ES細胞からPGCLCへの直接的な分化誘導も試みる。また、現在数%~十数%であるPGCLCの誘導効率のさらなる上昇を目指すうえで、EpiLCからPGCLCへの誘導タイミング等を詳しく検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Germline development in rat revealed by visualization and deletion of Prdm14.2020

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi T, Kobayashi H, Goto T, Takashima T, Oikawa M, Ikeda H, Terada R, Yoshida F, Sanbo M, Nakauchi H, Kurimoto K, Hirabayashi M.
    • 雑誌名

      Development

      巻: 147 ページ: -

    • DOI

      10.1242/dev.183798

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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