G6PD欠乏症は溶血性貧血、黄疸、ビリルビン脳症、敗血症などを引き起こす疾患である。世界でおよそ4億人がG6PD遺伝子に変異を有しており、変異によってはG6PDの活性に甚大な影響を及ぼす。多くの場合、通常では無症状であるものの、ウイルス感染、薬の投与、特定の食物によって細胞に過剰な酸化ストレスが生じた際に溶血性貧血などの症状を呈する。現在までに、G6PD欠乏症に対する有効な治療薬は存在せず、創薬研究が急務である。本研究課題では、最も重篤なクラスI変異体の立体構造及び活性低下のメカニズムの解明に成功した。今後、本研究で得られた知見に基づいてG6PD欠乏症に対する治療薬の開発が期待される。
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